相続する不動産に根抵当権が設定されていた場合の対応をご紹介します!

相続の手続きにはそれぞれ期限が設定されており、今後について考える時間というのは限られています。
特に、不動産の権利に関する相続はあまり馴染みがないうえに複雑で、思っているよりも時間がかかってしまうものです。
今回は、相続する不動産に根抵当権が設定されていた場合に取りうる対応をご紹介します。

□そもそも根抵当権とは?

根抵当権とは、民法398条によると一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するものであるとされています。
特定の債権に対して担保するものではないので、あらかじめ定められた限度額を上限に何度も繰り返し融資が受けられるのです。

例えば、ある会社が金融機関から融資を受ける際、限度額2億円の根抵当権を設定したとします。
その後5000万円の融資を受けても、その会社は2億円の範囲内で何度でも融資が受けられます。
加えて、当初に受けた5000万円の融資を返済しても、根抵当権は消滅しません。

追加の融資を受ける度に抵当権を設定する必要が無いため、コストや手間が削減できる点が根抵当権の大きなメリットといえます。

抵当権と混同してしまう方もいらっしゃいますが、抵当権は特定の債権に対して不動産に担保を設定するものであり、根抵当権のように不特定の債権を対象にできないという違いがあるのです。
また、先ほども申し上げたように根抵当権は借入額を返済しても消滅しませんが、抵当権はローン完済時に抹消されます。

そのため、根抵当権を個人で利用するケースは珍しく、事業者や法人がメインに利用することになります。

□相続する不動産に根抵当権が設定されている場合の対応

1.相続放棄する

被相続人の権利や義務の一切を放棄することで、不動産に根抵当権が付いていたとしても債務を承継せずに済みます。
ただし、プラスの財産も放棄することになるため、プラスの財産総額とマイナスの財産総額を比較して検討すると良いでしょう。

2.元本確定をする

相続開始から6ヶ月以内に合意の登記を完了しなかった場合、相続開始時に元本が確定したとみなされます。
根抵当権の元本が確定することで、根抵当権は抵当権となりこの契約の中で追加で借り入れを行えなくなります。

3.根抵当権をそのまま設定しておく

相続人への所有移転登記、相続人全員を債務者とする根抵当権の債務者変更登記、指定債務者の合意の登記の3種類の登記を行うことで、根抵当権を設定したままにできます。
この手続きを行うと、承継後にも事業資金の借入が可能です。

4.根抵当権の抹消

不動産の売却を予定している場合、根抵当権がついたままでは買い手探しが困難であるため、事前に抹消しておきましょう。
相続時に被担保債務が完済されていなければ、まず元本が確定するのを待ち、完済して抹消登記を行います。

□まとめ

今回は、そもそも根抵当権とはなにかについてや、相続する不動産に根抵当権が設定されていた場合の対応をご紹介しました。
相続する不動産に根抵当権が設定されていた場合、まずその不動産を今後どうしたいのか考えて、それに合う対応を取るようにしましょう。